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元請けと下請けという業界構造の問題点

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■世間にあふれる元請け・下請け

元請け、下請けという言葉はあちこちで聞いたことがあると思います。一般の会社取引でも元請け、下請けは存在しますし、IT業界や工場などでも同様です。建築のジャンルでは、お客様と直接工事の契約を結ぶことを元請けと言います。元請けした業者自体のことも「元請け」と呼ぶことが多いですね。

これに対して下請けとは、元請けから仕事を引き受けること、仕事を代行することを言います。元請け同様、下請けした業者自体のことも「下請け」と呼ばれたりします。ちなみに、下請けからさらに仕事を引き受けて代行する者のことは「孫請け」と言います。

■施工体制が問題に

元請け・下請け構造はどこにでもあるものです。しかし建築のジャンルでは、これがしばしば問題の温床となっています。特に住宅を新築する場合は注意しておかないと、欠陥住宅を売りつけられることにもなりかねません。

基本的には、元請けが施工してくれるなら問題はありません。元請けと打ち合わせをし、工事計画や工事内容、金額やスケジュールなどを決定し、契約を結ぶ。後は計画通り進んでいるか、内容は契約通りかなどをチェックするだけです。

しかし、下請けが施工する場合は事情が異なってきます。まず、下請けは基本的に元請けから仕事を依頼されているのであって、雇い主は建築主(あなた)ではありません。つまり、建築主からプランの変更を依頼されたり、仕上げを変えてくれと言われても、指示に従うことはできないのです。もし指示に従ってくれた場合は、別料金の仕事として処理されていることもありますので、トラブルを避けるためには注意が必要になります。

さらに、ハウスメーカー(住宅会社)の施工体制が問題となる場合もあります。ハウスメーカーによっては、一括下請け業者に仕事を丸投げしていることがあります。実は建設業法で一括下請けは禁止されているのですが、なかなかなくならないようです。さらに、下請け業者は実際の仕事を孫請けに請け負わせる場合があります。

するとどうでしょう。建築主が支払う代金の中から、元請け・下請け・孫請けの3者が利益を得なくてはならないことになります。建築業界も、他社と熾烈な価格競争を行っている現実があります。普通に考えれば、孫請けの人達の利益はかなり少なくなるでしょう。さらに、建築主と施工者(孫請け)の関係は遠いものになりますから、手抜き工事をされる可能性が高まるわけです。事情はリフォームでも基本的に変わりません。

大切なのは、作り手の顔が見えるハウスメーカーやリフォーム業者と契約することです。はっきりと「我が社では下請けに出すことなく自社で工事ができるので無駄な費用が発生しません!」と謳っているハウスメーカーなども存在します。料金が安いからと安易に決めず、まずは納得のいく業者選びを心がけたいものです。

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この記事を書いた人

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